祖母の記憶とほうじ茶
もう亡くなって6年になるが、私には大好きな祖母がいた。
目尻が下がった優しい目が印象的で、
私の話をいつもニコニコしながら聞いてくれた。
祖母は私が遊びに行くと暖かく出迎えてくれた。
炬燵に入ってお菓子を食べながら他愛もない世間話をしたり、
そんなありふれた時間が大好きだった。
今でも一緒に過ごした時間を思い出すと、
もうこの世に祖母がいないという悲しさと、
温かく愛おしい気持ちで胸がいっぱいになる。
祖母の家でよく飲んでいたのがほうじ茶だった。
実家は番茶だったので、ほうじ茶を飲むのは祖母の家くらいだった。
鼻いっぱいに広がる、ほうじ茶の香ばしい香りとすっきりとした味。
初めてほうじ茶を飲んだ時の記憶を、今でもぼんやりと覚えている。
祖母のことを思い出しながら、私は今日もやかんでほうじ茶を沸かす。
大好きだった優しい笑顔を頭に浮かべ、
悲しみを堪えつつ、楽しかった時間を思い返し、ふふっ笑うのだ。